二次試験合格まで一次試験の知識のメンテナンスを

「知識が問われる試験」へのシフト

インテリアコーディネーター試験の二次試験の出題傾向は一昨年から若干変わってきており、製図問題でもゾーニングやレイアウトのスキルにはそれほど重点を置かず、知識を確認するような内容の試験になってきています。特に昨年2021年の試験ではその傾向が顕著でした。
一昨年から、平面図の製図の設問で、サラッとひとこと名称を示しているだけで、補足のイラストなども特に無く、特徴を持ったエレメントを配置して図面上に表現するという条件が出る様になってきています。
具体的には、次のものを配置する条件が出ています。

2020年

  • ペニンシュラ型キッチン
  • チーク材のフローリング
  • セミダブルベッド

2021年

  • エクステンションテーブル
  • ネストテーブル
  • コーブ照明
2020年、2021年それぞれ3つの、特徴を持ったエレメントです。
これらについてそれぞれの名称を見ただけで外観的な特徴やサイズ感がすぐに思い出せれば何も問題ないのですが、どんなものだか忘れてしまっていたら解答に詰まってしまいます
その一方で、ゾーニングやレイアウトに関しては迷うような難しさがなく、設問の条件をよく読みさえすれば具体的な家具の配置までほぼ一択で自動的に決まってしまうような、難易度の低い出題になっています。
2019年の問題と比較すると、だいぶ様変わりした印象です。2019年の問題では、補足のイラストがあるもの以外に、この様に用語の意味がわかっていないと作図ができない様な特徴のあるエレメントを配置するという条件は特にありませんでした。この傾向から見ると、2022年の試験にも2つ~4つ程度はこうした具体的な特徴のあるエレメントを盛り込む条件があるのではないか、と考えられます。

どう対策する?

このような出題内容に対応するために大事なのは、次の2つのスキルです。
  • 設問中の条件を読み落とさない注意力
  • どんなエレメントが登場してもそれを図で示せる知識力
今年一次試験を受験した人は、まだ一次試験の受験勉強をした時の知識が多く残っていると思いますので、昨年以前に一次試験を受験した人よりも有利なのではないかという気がします。もともと、今年の一次試験の合格者は昨年以前の合格者に比べて、準備期間の短さという点で不利なものがありましたので、差が付きすぎないようにバランスを取ろうとしているのかも知れません。 今まさにバリバリ製図や論文対策の準備をしている最中だと思いますが、このような知識に関するメンテナンスも並行して行っておくのが良いでしょう。そして個人的には、この様な出題の傾向が続いているうちは、一次試験と二次試験をそれぞれ別々の年に受けるよりも、同じ年に一気に受けてしまった方がラクなのかな、と思います。
学習の仕方としては、古い過去問題まで逆上って解くよりも、直近の試験内容に合わせた予想問題を多く解くのがより効果的と考えられます。

本番で思い出せない場合は?

もしも試験の本番に忘れてしまって思い出せないものが条件に登場した場合ですが、間違ったものであっても何かしら描いて解答を提出するのが良いと思います。
公式サイトでは2021年試験の2種類の解答例が公開されています。協会は明記していませんが、これらはおそらく合格者の解答と考えて間違いないと思います。

関連記事「公式サイトの解答例を徹底研究しよう」

この2つの解答例のどちらも、設問の条件に示されているコーブ照明がちゃんと描けていません。その代わりにコーブ照明ではない、全く別のものを描いてあります。しかし、その全くコーブ照明ではないものを「これが私なりのコーブ照明です!」と言わんばかりに堂々と描き切っています。忘れてしまった場合でも、インテリアコーディネーター試験では描かずに欠落させてしまうよりは、間違ったものでも何かしら描いたほうが良いという事が示されていると受け取れます。
しかしもちろん、各スクールなどもこのような直近の出題傾向の変化をとらえ、変化に合わせた対策を打ち出し、受講者をトレーニングしているでしょう。ですから出題条件に含まれるエレメントを的確に図示できる受験者の割合が2022年は2021年に比べて増えるのではないかと考えられます。ですから独学でチャレンジする受験生も、名称だけで示されたエレメントに関して適切に図示できるように、知識をメンテナンスして、せっかく過去に勉強したものを忘れ去ってしまう事の無いようにしておきましょう。

これまでに登場したものを復習

ペニンシュラ型キッチン


対面型キッチンの一種です。左右どちらかが壁に接していて、もう一方の側からしかキッチンの内側に周り込めない配置です。I型・L型・二型といったキッチン設備の各タイプとの組み合わせによるバリエーションがあります。
これに対してキッチン設備の四方が壁に接しておらず左右どちらからもキッチンの内側に回り込めるレイアウトの対面型キッチンの事をアイランド型と言います。

チーク材のフローリング

チーク材はくすんだオレンジとも言える様な、彩度が高めのミディアムブラウンの色をしており、黒いラインの木目があります。アッシュ系や古材調といった、彩度の低い床材が流行っているここ最近では、こうした床材はレアな選択と言えます。天然チークは床材以外にも、収納家具やテーブルなど、色々なものに使われています。東南アジアの名産なので、東南アジアの高級家具ではとてもよく使われています。

セミダブルベッド

セミダブルベッドの外観が分からない人は居ないと思いますが、幅を覚えていないと図に描き込めません。間違いなくそこを狙った出題でしょうからシングルベッドのサイズで描いて提出しようものなら採点者は手を叩いて大喜びしそうです。肝心のセミダブルベッドの幅ですが、1200mm程度が標準です。シングルベッドが1mなのは誰もが覚えていると思います。シングル→セミダブル→ダブル→クイーン→キングと、単純に200mm刻みです。キングサイズで幅1800mmです。今まで覚えるのが難しいものだと思い込んでしまっていた人も多いと思いますが、こんなシンプルな話でした。肩透かしを食うとはこういう事です。

エクステンションテーブル


エクステンションテーブルは天板が伸縮可能な機構を持ったテーブルです。ドロップリーフ(バタフライ)式・センター伸長式、スライド式などの機構の種類があります。住宅のダイニングでは来客時に拡張状態にする使い方などが考えられます。

ネストテーブル


2個組や3個組のサイズの少し違う独立したテーブルのセットで、一番大きなテーブルの下部に全てのテーブルがコンパクトに収納できるようになっています。デザインを統一している場合が多いです。

コーブ照明


天井の間接照明の一種です。壁と接しない天井の部分を折り上げ、その折り上げ部分に、高い部分の天井面を照らすように仕込んだ間接照明です。壁際部分を折り上げるコーニス照明とセットで覚えておくと良いでしょう。

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