プレゼンテーション試験のスピードアップ作戦―製図道具の定位置を決める―
製図道具の管理の悪さによるロスとその解消
インテリアコーディネーター試験だけに限らず製図作業をする場合に一般的に言える話かも知れません。気づきにくいですが大きなロスの原因になりがちな事に「作図作業のスペースが作業しづらい」「使いたい道具を探し回る」というものがあります。例えば、「作業するスペース内に置いてある邪魔な道具を避けながら作業しづらい体勢で作図作業を続けてしまう」といった事や、「字消し板を使いたいけれど、他の道具の下に入り込んでしまっているせいでどこにあるのか分からず、あちこち探し回ってしまう」といった事などです。こういう事を無くすだけでも、かなりのスピードアップが実現できます。
それにはどうすれば良いのかというと、製図作業で使うあらゆる道具に関して「この道具はいつもここに置く」という定位置をひとつひとつ決めておく、という方法があります。
定位置の決め方
定位置を決めるなら、何となく気分で決めてしまうのではなく、生産性が上がるフォーメーションを理論的に考えて決めるのが良いです。例えば右利きの人ならばいつも右手で使う道具、左手で使う道具というものがそれぞれあると思いますが、右手で使うものは右側に、左手で使うものは左側に置くとそれだけで時間の短縮化に繋がります。また、使用頻度の高いものは手前側のすぐに使ったり戻したりしやすい場所に配置し、使用頻度の低いものは奥側の多少取りにくい位置に配置するというのも合理的な考え方です。置く位置だけに限らず、置く向きに関しても工夫する余地があります。
身体的・感覚的な個人差や、使っている道具のサイズの違いなどもあると思いますので、実際に製図作業を行う練習をしながら自分にとって使いやすい配置を試行錯誤しながら研究し、徐々に改良を重ねて行くと良いでしょう。
使った道具は元の定位置に戻す
それぞれの道具は作図作業をする領域に持ってきて使う訳ですが、使い終わったらそのまま作図作業の領域に置いたままにしたり、あるいは元の定位置とは違う場所に片付けたりなどせず、その都度毎回いつもの定位置に戻す、という習慣を付けると良いでしょう。なぜならこの様に使った道具を元の定位置に戻しておかないと、その続きの作業をする際に邪魔な道具が置かれ続けていて作業しづらい作業スペースの環境になってしまったり、再び道具を使いたい時にどこにあるのか分からないために探す事になってしまったりして、結局時間のロスが発生してしまうからです。その都度元の位置に戻すのは面倒だし毎回ちょっとずつの時間が消費されてしまい時間がもったいないような気もしますが、作業領域が作業しづらい環境になってしまう事による作業のスピードダウンで生じる時間のロスや、どこにあるのか分からない道具を探す事による時間のロスに比べれば大した事はありません。逆に言えば作業しづらい環境で作業する事によるスピードダウンや、道具を探し回る行動によって起こるロスというのは感覚的には気付きにくいですが、実際に計測してみたときの定量的なボリュームがそれほど大きいのです。こうしたロスをカットする事で時間的にスピードアップできるという効果もありますし、それに加えて受験者の疲労やストレスを軽減でき、フィジカルやメンタルのコンディションをより良い状態に保つという効果も得ることができます。
生産性を高めるような道具の配置を考えることは、ちょうど一次試験で勉強した人間工学と密接な関係があります。また、製造業の工場などでは、日常的に研究されています。