抜け・漏れを防ぐ製図の手順を組み立てる

抜け・漏れを防ぐ事の重要性

インテリアコーディネーター試験を実施しているインテリア産業協会が公式サイト上で公開している2つの解答例は、合格者の解答例と考えるのが自然だと思います。

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この2つ解答例を見ると、特別表現力が優れているという感じでもありません。細かく見ればところどころ間違っている部分もあります。しかし共通している事に、「空間の条件」や「依頼主の要求条件」に関して、抜けや漏れが無いという事があります。 ですから、インテリアコーディネーター試験に合格するためには、抜けや漏れの無い解答を提出する、という事が特に重要であると考えられます。

試験の本番には緊張してしまう場合もありますし、あるいは前の晩によく眠れなくて眠い状態で受験するという場合もあると思います。するとなかなか練習の時のように平常心で対応できなくなり、ついつい抜けや漏れのミスをしてしまうという事が起こりやすくなります。 そういう抜けや漏れを予防して、どんなコンディションでも確実に一定のクオリティをキープした製図作業を進められるように、ある程度決まった手順を日常的に用意しておくと良いと思います。

抜け・漏れを防ぐ作業手順の例


具体的にはどんな事をするとよいのか、平面図を題材にしてひとつの例を紹介します。

1. 「空間の条件」「依頼主の要求条件」「設問」の全ての条件項目に色鉛筆でアンダーラインを引く

まずは問題をしっかりと読みます。読みながら、アンダーラインを引くなど、自分で分かりやすい目印を付けます。アンダーラインを引くならば、例えば通常の肯定的な項目はピンク、否定や禁止事項は水色辺りの色で色分けなどすると特に条件が頭の中で整理しやすくなって良いと思います。2021年の問題の場合で具体的に言うと、「家庭用ワインセラーの前に扉はつけない」「カーテン以外のものとする」「床フローリングの目地は描かなくてよい」という部分は、水色で線を引くなどしておくと良い箇所です。

条件が一文の中に連続的に書かれている箇所でも見落とさないように、各項目の先頭に「・マーク」を付けたり、アンダーラインをL字型に引いたりするなどの工夫をしておくと良いと思います。

アンダーラインの引き方の見本

2.「絶対的な条件」を見付け、さらに目立つ色で囲む

問題をよく読むと、毎年のように「必ず設置しなくてはならず、しかも設置場所が1箇所だけに限定されている」という絶対的な条件が含まれています。完成した図面を見ると、適切に解答した人は全員、その場所には同じものが配置される、というものです。こうした条件は、インテリアコーディネーター試験の二次試験が難しくなり過ぎないようにしている重要な要素の一種と言えます。その条件を探し出し、真っ赤やオレンジなど、よく目立つ色で囲みます。毎年1つずつとは限りません。複数ある場合もありますので、注意深く見つけましょう。
絶対的条件の囲みのサンプル
2021年の問題で言うと、「キッチンに接してカウンターテーブルを設け~椅子 2 脚を置く」「東側壁面の幅いっぱいにキャビネット~設置する」がその条件です。
必ず決まったものが配置される場所の例

キッチンに接するカウンターテーブルに関してはキッチンのワークトップに対してL字型やT字型に配置する事も物理的には可能ですが、ダイニングスペースの面積、他の家具も配置する必要性、テラス窓の動線の確保の必要性があるという事から一見して無理がありますので、実質的に一択の配置だと考えるところでしょう。
また、2020年の問題だと、「西側壁面には、作業台~キャビネットを配置する」「図- 1 平面図に指定した位置に~ワークカウンターを設ける」「図- 1 平面図に~クローゼットを設ける」という部分がそうした条件にあたります。

3.目立つ色で囲んだ「絶対的な条件」から配置を始める

この絶対的な条件の対象になる箇所は必ず条件で指定されたものが配置されますし、他の物が配置される事はありません。ですのでこの場所から先に配置計画を行います。すると残りのものを配置する場所はある程度限られてきますし、相対的な位置関係で連鎖的に配置が決まるものもあります。残りの解答を進めやすくなり、解答の時間短縮にも繋がります。この時に、配置する物の描き込みをひとつひとつ仕上げ切ってしまうのではなく、捨て線によって薄く仮の状態で描いておきながら、まずは図面全体に配置するものをひと通り配置し尽くすのが良いです。

4.ひと通り配置が完了したら、配置したものを確認しながらアンダーラインを引いた全ての場所にチェックを付ける。

薄い捨て線によって図面全体に配置すべき物を仮に配置し切ったところで、色鉛筆でアンダーラインを引いた条件を全て図面上に反映させ切ったかどうかを確認します。鉛筆でチェックマークを付けたり、打ち消し線を引いたり、別の色を付けたりなど、自分にとって分かりやすいと思う方法で構いません。抜け・漏れが無い事を視覚的に確認できる事が大事です。仕上げ切ってから漏れに気づくと修正が大変ですし手戻りのロスが大きくなりますので、薄い捨て線で図面全体を仮に仕上げた段階でチェックを行うようにします。

チェックマークを付けた部分の見本

5.チェックマークの付かないもの(配置漏れしたもの)があれば、配置する。

アンダーラインを引いたのにチェックが付かないものがあれば配置漏れの可能性があります。配置漏れしたものがあれば追加します。そのままでは配置できない場合は、配置済みのものを移動したりなどして修正を行います。その時に一度描いたものを消す場合は、ひと呼吸置くつもりで、落ち着いて消しましょう。慌てて消すと、消さなくて良かったものまで消してしまい自ら手戻りを増やしてしまう場合があります。
抜けや漏れが無いという事が確認できれば、あとは捨て線で薄く描いていたものを濃い線でどんどん描いて仕上げて行けばOKです。


以上はひとつの例ですので、より自分にとって作業しやすい様にアレンジしてみて下さい。


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