[一次試験] 電線の種類

屋内の配線工事に使われる電線の種類

インテリアコーディネーター試験を受験するからといって電気工学の知識があるわけではなく、むしろ苦手としている人も多いと思います。しかしそんな電気のジャンルにも取り付き易い部分があります。例えば屋内の配線工事に使われる電線の種類は限られています。電気の難しい理論を知らなくても電線の種類を覚えるだけの事はできますので、電気が苦手な人でも覚えておく事をおすすめします。

―最近の出題状況―

2021年(第39回)第44問2

2020年(第38回)第44問1

電気に関する問題は毎年出題されますが、その中でけっこう出題されています。

最低限覚えるならこの3つ

最低限覚えるならばこの3つです。

  • VVFケーブル(特に重要)
  • VVRケーブル
  • IVケーブル

この3つを覚えるだけで得点のチャンスはかなり増えると思います。もっと覚えられるという人は、キャブタイヤケーブルなども覚えるとさらに多くの問題のバリエーションに対応できるでしょう。

VVFケーブル

VVFケーブルとはVinyl insulated Vinyl sheathed Flat-type cableという長い名称の略称です。長すぎて正式名称を覚えている人はほとんど居ません。

1957年にアメリカの電線をヒントにして誕生したと言われています。半世紀以上も前です。

今日行われる建築物の屋内配線で最も一般的に使われているケーブルです。

VVFケーブルの外観写真

こんな線が住宅や事務所や店舗などの天井裏や壁のボードの裏に配線されています。第二種電気工事士試験の受験を考えている人は、実技試験で主にこういう線を加工作業する事になります。

複数の樹脂の絶縁体で覆われたケーブルがシースという樹脂の外皮でさらに覆われています。シース(sheath)とは「さや」という意味で、寿司という意味ではありません。シースは絶縁体を保護するためのものです。シースの防護機能があるおかげで、保護資材で覆ったりする工程を省いて天井裏や壁内にそのまま配線する事ができます。芯線(主に銅でできた中身の導線)は、単線といって一本の針金状になっています。家電製品のコンセントの線やイヤホンの線などは極細の導線が束になったものですが、そういう電線とは構造が違います。扱った感触もコンセントのコードようにフニャフニャしておらず、針金の様にビヨビヨしていてクネクネと折り曲げる事ができ、折り曲げるとその形状を保持します。

色々な太さがありますが、最も多く使われるのは芯線の直径が1.6mmのものです。エアコンや調理器具を設置して多くの電力を使う場所には直径2.0mmのものを使います。たくさんの電力を使うと多くの電流が流れて電線が発熱するのですが、電線の直径を大きくすると電線の抵抗が小さくなって発熱が抑制できます。使う電力量と、配線する電線の太さの関係は内線規程(電気関係の法令の一種)で定められています。

1.6mmと2.0mm以外の直径のものもありますが、一般的な住宅や事務所や店舗の内部ではあまり使われません。壁に付いているコンセントやスイッチ、天井に付いている照明器具の部品のほとんどは、この1.6mmか2.0mmの単線の芯線を工具を使わずに差し込むだけでホールドしてくれる特殊な端子金具が内蔵されていて、効率よく配線作業ができるように作られています。下の写真はコンセントの裏側です。

VVFケーブルには下の写真の様に3本の線を束にしたもの(3芯)もあります。回路の形状によっては、3芯の線を使うと効率よく配線できる区間が存在する場合があります。2芯の線と3芯の線は効率性や経済性を考慮し、必要に応じて使い分けます。


VVFケーブル(3芯)の写真

VVFケーブルはVA線Fケーブルという別名もあります。VAはVinyl Armorの略、FケーブルのFはVVFをさらに略して3文字目のFだけにしたもので、FlatのFです。次の章で登場するVVRと比べて、断面が扁平であるためそう呼ばれています。

VVRケーブル

VVRはVVFケーブルよりも長い歴史があります。VVRケーブルを略さずに言うとVinyl insulated Vinyl sheathed Round-type cableなのだそうです。VVFケーブルの「F」はFlatのFでしたが、それに対して断面が円形のVVRの「R」はRoundのRです。この事を覚えておくと混同せずに覚えられます。

VVFケーブルとはシースだけが違うと考えて差し支えありません。シースの部分が樹脂と紙の素材でできた介在物というものの多層構造になっています。

VVRケーブルの断面図
VVRケーブルの断面図


後からできたVVFのほうが加工しやすいうえに単価も安いため、今日ではVVRはほとんど使われておらず、電気工事士の実技試験以外で施工する機会はほとんどありません。インテリアコーディネーターの試験問題にも選択肢の中に名前が登場する程度で、VVFケーブルのように突っ込んだ出題がされないのにはそういう事情があります。

VVFケーブルとVVRケーブルを合わせてVVケーブルと総称する場合もあります。

IVケーブル

IVケーブルはVVFケーブルやVVRケーブルのシースを取り除いた中身とほぼ同じです。VVFケーブルやVVRケーブルと同様、芯線は1.6mmのものが多く使われ、使用電流の大きい箇所には2.0mmのものもよく使われます。IVケーブルには、VVFケーブルやVVRケーブルと同様に芯線が単線のタイプと、より線と言って細い線を束ねたタイプのものがあります。芯線がより線のものは電化製品のコードの様にフニャフニャと柔らかく曲がります。実務上、建築物の電気工事で使われるのは芯線が単線のタイプです。VVFケーブルと芯線同士を比べると直径も単線である点も共通していますので、VVFケーブルを差し込んで結線できる各種のパーツに対して、同じ様に差し込んで結線する事ができます。

IVケーブルはVVFケーブルやVVRケーブルと違ってシースが無いことから絶縁体が損傷しやすいので、むき出しの場所では使用されず下の写真のような電線管やボックスの内部の配線に使用されます。

電線管の写真

シースが無い事によって、VVFケーブル等と比べて同じ長さでも軽い、省スペース、軽い力で曲がる、電線管のコーナー部分で摩擦面となる表面積が小さいなどの特性があり、電線管内の配線など、IV線が使用可能な場合にはVVF等ではなくIV線を配線した方が施工しやすい場合が多いです。

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