[一次試験] 電着塗装と粉体塗装

電着塗装と粉体塗装に関して、過去に次のような出題がありました。ちょうどいい機会ですので、2種類の塗装についてセットで学習しましょう。


2020年(第38回)第19問1

 (?)部分に最も適当なものを選びなさい。

 スチール製の家具には、溶剤を使わず、厚く強度のある塗膜をつくり不透明に仕上がる(?)が適している。

【語群】 1 .粉体塗装 2 .電着塗装 3 .加飾塗装

(著作権があるため文言を少し変えてあります)


正解は「1 .粉体塗装」です。

加飾塗装は、名前の文字からイメージされる通り、塗膜をつくるという性質の塗装ではなく絵柄やパターンを追加するような塗装です。これは直感的に違うと思う人がほとんどだと思います。残る2つですが、粉体塗装も電着塗装もどちらもスチール家具の塗装に適していると言えます。問題文をよく読んで一方に絞り込んで行きます。

ふわっと覚えた状態だと「あれ、粉体塗装も電着塗装の一種じゃなかったっけ? だったら1の『電着塗装』で答えておけば間違いないかな?」と考えて1と答えてしまいそうです。

しかし実は、電着塗装には広義の電着塗装と狭義の電着塗装があります。図で表すとこの様な関係になっています。

狭義の電着塗装は、液体の塗料の中に塗装対象を沈めて対象物と塗料の槽に電流を流して塗装する方法です。「ドブ漬け」とも呼ばれ、自動車のボディの塗装方法として有名です。

問題文を詳しく読むと、まず「溶剤を使わず」とあります。困った事に粉体塗装も電着塗装もどちらも基本的には溶剤を使わない塗装方法です。ただ、調べてみたところ電着塗装では少量の溶剤を使う場合もある様です。うっすらと粉体塗装なのかな、という気がしますが、決定的とは言えずモヤっとします。

さらに問題文を読むと「厚く強度のある塗膜」とあります。電着塗装でも厚くて強度のある塗膜ができますが、粉体塗装ではそれよりもさらに厚い塗膜ができます。ここを読むとやっぱり粉体塗装が正解なのかな、という気持ちがさらに少しプラスされます。

さらに問題文を読むと「不透明に仕上がる」とあります。粉体塗装でも電着塗装でも塗料には不透明色だけでなくクリア(透明色)の塗料がありますので、サンド富澤さんでなくても「ちょっと何言ってるのか分かんない」と感じます。不透明に仕上げたい場合には、下地が透けないようにしっかり不透明に仕上げる事が可能だと言いたいのかも知れません。ただ、それならば粉体塗装でも電着塗装でもどちらでも可能です。読んでも正解を絞り込む手がかりが得られず、かえって「何を言いたいのだろうか?」という謎だけが残るので、読まなければ良かったという気持ちにさせられます。出題者は何のためにこの一節をわざわざ書いたのでしょうか。最後に一番もモヤっとします。

さて、問題文には以上の情報しかありませんので、これでなんとか決断しなくてはいけません。ズバッと決定的に粉体塗装だ、と言えるような部分がある気はしませんが、なんとなく薄っすらと粉体塗装なのかな、というものが積み重なっていますので意を決して1を選ぶと、結果的に正解できます。「最も適当なもの」を選ぶという出題ですし、たしかに「他の選択肢と比べて相対的により適当さを感じる」とは言えますので、文句を言ってやりたいですがガマンするしか無いでしょう。

インテリアコーディネーター試験にはこういうモヤっとした問題がけっこうあります。ストレスが溜まりそうですが頑張って行きましょう。

ところで粉体塗装はよく出題されています。近年では

2021年(第39回)第19問

でも出題されました。最近の技術では金属だけでなく、木材でも塗装できるようにもなりましたので、特徴として覚えておきましょう。

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