[一次試験] プロペラファン・ターボファン・シロッコファン
換気扇に使われるファンの種類、プロペラファン・ターボファン・シロッコファンについてはインテリアコーディネーターの一次試験でよく出題されるものです。直近の3年では毎年出題されています。2022年も出題される可能性が大きいです。
直近の出題状況
- 2021年(第39回)第45問イ
- 2020年(第38回)第37問
- 2019年(第37回)第38問エ
直近3年は連続して出題されています。
覚えるのは難しくありませんので、覚えてしまいましょう。試験直前に覚えるのにも向いています。
プロペラファン・ターボファン・シロッコファンの3つは、下の図のように2つのグループに分類する事ができます。
プロペラファンは軸流ファンに分類され、ターボファンとシロッコファンは遠心ファンに分類されます。ターボファンとシロッコファンは同じ遠心ファン同士なので性質がかなり似ています。プロペラファンだけが仲間外れですから、三肢択一式のインテリアコーディネーター一次試験では、プロペラファンが正解になる場合がやたらと多いです。これを覚えておくだけでも正解できる問題が増えます。
軸流ファンも遠心ファンも風を起こして空気を移動させるものです。しかしメカニズムにはかなり違いがあります。特に風の吸い込みと吐き出しに関しては下の図のような違いがあります。
軸流ファンは、吸い込んだ空気をそのまま延長線上に向けて、一直線に吐き出します。
それに対し遠心ファンは空気を吸い込む方向を軸としてその軸に対して直角に180°ぐるっと放り出す様に吐き出します。名前から想像が付く通り遠心力が働いています。しかし実用上このような方向に向かって空気を吐き出すようなファンの需要はほとんど無く、一方向だけに向けて空気を吐き出すように、一方向に向かう出口の空いた下の写真のようなケースに収めて使われる場合が圧倒的多数です。下の写真はシロッコファンです。
このような仕組みですので遠心ファンは空気を吸い込む方向に対して吐き出す方向は90°曲がった方向になります。
もう一方のプロペラファンは、見慣れていると思いますが、下のような形のファンです。
軸流ファンと遠心ファンの特徴の比較
軸流ファンは多くの風を起こす事が得意です。専門的な言い方では大きな風量を得やすいと言います。しかし遠くまで届くような風を起こしたり、向かい風にも負けないような強い風を起こすのは苦手です。静圧が得にくいと言います。太いホースの先から大量の水がドブドブッと流れている様なイメージです。
これに対して遠心ファンであるターボファンとシロッコファンは軸流ファンほど風量を得やすくはありませんが、静圧が得やすいという特徴があります。細いホースの先から水がシューッと遠くまで飛び出ている様なイメージです。
軸流ファンであるプロペラファンは扇風機でよく使われています。扇風機は通常ほぼ無風の室内で使われ、使う人は近い位置から直接当たる場合が多いです。ですから、大きな静圧は必要としません。一方で風量が大きいとより全身が風で包まれやすくなり実益が大きいです。ですからプロペラファンが適しています。
遠心ファンは、曲がりくねったダクトの中の空気を力強く押し出す空調設備に使われたり、遠くまで届く風を起こす工業用ブロワなどに使われています。
インテリアコーディネーター試験で違いが問われるケースを見たことがありませんが、ターボファンとシロッコファンとを比較すると、ターボファンは平べったくてカタツムリのような形をしており羽が大きくて数が少ない、シロッコファンは奥行きがあって筒のような形をしていて羽が小さくて数が多い、などの違いがあります。比較的ターボファンの方が大きな風量が得やすいです。
ではこれらの3つのファンの特徴をふまえて、過去問題を見てみましょう。
過去問題にチャレンジ
2021年(第39回)第45問イ
高層階でダクトを使用するキッチンに採用できない換気用ファンはどれか?
【語 群】 1 .プロペラファン 2 .ターボファン 3 .シロッコファン
(著作権があるので少し文章を変えてあります。)
正解は1 .プロペラファンです。高層階の辺りでは地表近くに比べて強風が吹く場合がよくあります。静圧が弱いファンだと向かい風が吹いている時に押し戻されてしまって換気できなくなるおそれがあります。ですので正解は1のプロペラファンです。