得点力はどの様にアップしていくか
インテリアコーディネーター試験に限らず、検定試験に合格するためには合格点をクリアする事が必須です。ですから受験勉強の段階で、過去問題や想定問題を解きながら今の自分の得点力がどの位なのか、という事を継続的に確認している人が多いと思います。
学習を積み重ねるにつれて、過去問題や想定問題で得点できる点数が順調にアップしている時はあまり悩む事も無いと思いますが、例えば前回よりも点数がダウンしてしまった、という場合には心配や焦りの気持ちが起こりがちだと思います。
そうした時に「より一層頑張っていこう」とモチベーションにつなげて行く事は良いことですが、必要以上に心配してしまったり自信を喪失してしまったりするのは支障にもなってきます。1回ごとの点数に一喜一憂せず、メンタルの安定をキープする事が大事です。ならば、そもそもどうすればそのように自分のメンタルを安定させる事ができるのか、という話になってきます。
それには色々ありますが、大きく役立つ事のひとつは、得点力というものの性質について一定の知識を持つという事です。人には未知のものに対して恐怖や不安を持つ性質があると言われています。試験の得点力に関しても一定の知識を持つと、先行きの不安の解消に効果があります。特に
- 得点力はどのように向上していくのか
- 試験の点数は上下にブレやすいものである
こうした事をある程度理解しておくのは効果的です。
まず得点力はどのように向上していくのか、という話ですが、得点力など、トレーニングを積む事によって伸びるタイプの能力はリニアな右肩上がりの直線を描いて向上していくものではないと言われています。1900年前後に活躍したドイツのエビングハウスという心理学者が発表して知られています。その説によると、トレーニング等の経験を積んでいくと、達成度は曲がりくねった曲線を描くように上昇していき、経験が増えても達成度が上昇しない期間というものが存在しているという事です。
しかしその状態になったとしてもそのまま経験を増やし続けて一定の時期を抜けると、再び達成度が増加する期間があるという事です。ですから、伸び悩みの時期に達したと実感しても、そのまま粛々と経験値を積み上げる事を継続していく(上のグラフで言うと右方向に進み続けて行く)事で、やがてその時期を抜けてふたたび達成度が上昇に向かう事が期待できます。
次に、試験の点数は上下にブレやすいものであるという話ですが、ブレやすいのには例えば次のような事が関係しています。
- 得点を取れない部分の出題が多く出題される場合がある
- 解いている問題の難易度にバラツキが生じる事がある
まず得点を取れない部分の出題が多く出題される場合があるという事に関してです。試験範囲の広いインテリアコーディネーター試験では、試験範囲全体にわたる学習をそう短時間で完了する事はできません。結局最後まで試験範囲全体を仕上げ切れない事すらあり得ます。学習を始めた初期の段階では特に、確実に得点ができる程度に理解ができている箇所は試験範囲全体の中に点在しているような状況ですから、自分が得点できる部分と出題された部分とのマッチングの状況次第で点数は大きくブレます。マッチング率が低ければ当然点数が下がる事もあります。株価チャートのようにジグザグの上下動を繰り返しながら右肩上がりになっていくイメージです。得点できる領域を増やすかたちで経験値を増やして行き、理解できていない部分が減るにつれて、得点できる知識と出題とのマッチングの確率が大きくなり、上下のブレの割合は小さくなって行きます。
次に問題の難易度にバラツキが生じる事があるという事に関してです。例えば同じ問題を解いた別の人の感想を聞く事などができず、自分ひとりだけで問題を解いてみただけでは問題の難易度を客観的に知る事が難しいものです。しかしそれでも学習を進めていく事により、先程のマッチング確率によるブレが小さくなる事などもあり、過去に解いた問題との比較で経験則的に難易度の違いを感知できるようになって行きます。
上下に激しくブレている点数のデータだけを見ている状況だと自分の本当の得点力がどれ位なのか把握しにくくて困るという人には、使えるツールがありますので紹介します。それは移動平均値です。例えば直近2回、あるいは直近3回の点数の平均値を求めてその推移を観察してみます。表とグラフにするとこの様なものができます。
より多くの回数で計算した平均値ほど、ジグザグの変動が少ないなだらかな数値になり、より中長期的な観察に役立ちます。
独学をしていて、周りに特に相談相手も居ないという状況だと、努力しているにもかかわらず結果が点数に反映されない時には大きな不安を感じがちだと思います。この様に、得点力がアップしていく過程を性質的にある程度理解しておくと、無駄な不安を感じる事を減らす事ができます。