インテリアコーディネーター試験は独学で合格できるか

インテリアコーディネーター試験は独学で合格できる

インテリアコーディネーター試験は独学でも比較的合格しやすいです。
なぜ合格しやすいかというと、次の理由があります。

  • 難易度がそこまで高くないこと
  • 独学向けの教材が幅広く流通していること
  • 出題の動向に変化が少なく過去の出題傾向から大きく逸脱する事が無いこと

ところで、二次試験ではプレゼンテーション試験という実技の試験があり、この試験に関しては確かに内容的に多少独学のしづらさがあります。それに比べれば、例えば一次試験のような選択式のCBT方式試験やマークシート試験で行われる資格試験などのほうが、一般的により独学で勉強しやすいとは言えると思います。とはいえ、プレゼンテーション試験の勉強を独学でするのが無理だというほど大変なことではありませんので、心配は要りません。
しかしそう聞いただけではなかなか信じられないというのも無理はありません。すっきりと心配を解消できるように、裏付けとなる説明をしていきます。

大手スクールの合格率の数字のトリック

インテリア産業協会の発表による2021年の二次試験の合格率は、全体で59.1%でした。たとえば有名な大手スクールにHIPSという学校がありますが、この年の受講生の合格率は82.3%だったそうです。同社はこれらの2つのパーセンテージを並べて公式ウェブサイト上で実績としてアピールしていました。
ぼんやりしていると、「大手スクールに通うと他の方法で勉強した人よりも合格率がそんなに高くなるのか」なんて思ってしまいそうですが、そこには巧妙な数字のトリックがあります。
受験者全体の合格率59.1%(およそ6割)と受講生の合格率82.3%(およそ8割)が並べて掲げてあるのですが、それらは同じ土俵に乗っているもの同士ではないのです。2つを直接比べるのは、データの比較として適切ではありません。
インテリアコーディネーター試験に限らず、検定試験の受験者には、例えば「著しく準備不足で、当人も合格する見込みが全く無いにもかかわらず試験当日には会場に受験に行った」というタイプの受験者が必ず存在します。このタイプの受験者達は例外なく全数が不合格になる、「受験者数イコール不合格者数」という特殊セグメントです。
勉強方法の違いによる合格率の違いを知りたいのならば、このセグメントは分子・分母ともにまるごと統計から切り離して考える必要があります。なぜなら、このセグメントは「スクールで勉強したわけでもなく独学で勉強したわけでもない『どんな方法でも勉強しなかった受験者』」なわけです。
もしもこのセグメントを除かずに受験者全体の合格率と大手スクールの受講生の合格率とを直接比較するとなると、比較する相手の側に押しやったうえでの比較になるわけですから、両者の合格率により大きな差が付いてしまいます。これは独学で勉強した受験者にも同様に言えることで、全く勉強しなかった受験者も独学で準備した受験者に含めてカウントしてしまうと、独学の効果について正確な検証ができません。
ですから、勉強方法によってどれぐらい合格率が違うのかを知りたい時に、「勉強しなかった」というセグメントが混ざったものと比較をしたのでは意味がないのです。


十分な時間の勉強をした受験者だけで合格率を計算すると、受験者全体の平均合格率よりも結構高くなるでしょう。データが無いので推測する事しかできませんが、控えめに見ても全体の平均よりも1割程度は合格率が底上げされ、7割程度は合格しているだろうという見立てができるのではないでしょうか。もちろん、その事を考慮に入れても、大手スクールの受講生の合格率8割超というのは、それなりに高い数値だという事は言えるでしょう。「合格のチャンスを高めたい→だから大手のスクールに入る」という考え方には、たしかに一定の合理性があると言えます。

しかし冷静に考えれば「サボらず受験勉強をした受験者全体の平均が7割のところ、大手スクールの受講者の合格率は8割」という、概ねその様な話であるわけです。その、プラス一割程度の合格率アップの度合いをコスパやタイパとして考えると、どうやら誰もが価値が大きいと感じるほどのものでもなさそうです。ちょうど人によって評価が分かれる辺りではないかと思います。しかも、合格率が高くなる要因は、指導の内容が優れているから、という事だけに限りません。受講生は、高い授業料を払うという心理的なハードルをひとつ超えているわけですから、入校時点ですでに受験者全体の平均よりも「意識が高い」「熱心である」というふるいで残った人たちなのです。それもまた合格率を押し上げる要素になっているでしょう。逆に大手スクール側から見れば、それ位の結果を出すだけならば、大手スクールの講師の仕事内容はそれほど難しいものではない様に思えます。多少誇張して言えば「大した指導などしなくても、カリキュラムに沿ってルーティンの授業を開催さえすれば、もともと意識の高い生徒達が勝手に頑張って合格してくれる」という状況に近いものではないかと思います。もしも仮に「合格者はスクールに通っている人に独占されている」とか「不合格者は独学の受験者に独占されている」という状況があるのならば、やっぱりスクールに通わないとダメなのかなあ、という気持ちにもなるでしょうが、集まったデータをこのように冷静に分析していくと、そこまでの状況にあるとは考えられません。私などはむしろ、「大手のスクールに通ったところでおよそ2割の人は落ちてしまう」という事のほうがより関心度が高く、つい注目してしまいます。

合格者の証言の信憑性は

一方で、実際に合格した人というのはどんな人たちなのか、という側にスポットを当ててみましょう。例えば「インテリアコーディネーター 合格した」「などのキーワードでネット検索すると、検索結果が目立ちます。また、「インテリアコーディネーター 独学」で検索すると、そこに表示されるものの多くはのは合格できたという内容を含むものです。反対に、独学合格するのは無理だという情報は少ないです。独学では合格できないという説に関してならば、本当にそう考えている人ばかりでなく、受験者の不安を煽って入学させたいスクール運営者やスクールから紹介インセンティブを得ているアフィリエイターのステマなどが色々と混ざって実態よりも過大に発信されている可能性が考えられます。しかし独学で合格できるという情報を発信するメリットというものは社会貢献以外には特に考えられるものがなく、誇大に発信されているとは考えにくいものです。それでも、独学で合格できたというこれだけ多くのコンテンツが存在しているわけですから、そんなに難しい話ではないと考えて差し支えないでしょう。
インテリアコーディネーター試験に関しては、例えば建築士試験の様に合格者のシェアを大手予備校が寡占化し、彼らが公表するデータによって全体像が見えて来てしまうような現象がある訳ではありません。ですのでどこまで行っても定性的な推測しかできないものではありますが、おそらく毎年の受験者の中には独学で受験する人がそれなりに居て、合格者の中にもそのように独学で受験した人のシェアが実態としてそれなりにあるのだと考えられます。

そもそも忘れてはならない「合格率6割でチャンス3回」という大枠

ここまで、ネットから収集できる周辺データからどちらかといえばフワッとした考察をしてきましたが、こんどは一旦インテリア産業協会の公表しているデータに戻って、もっと客観的でシンプルな考察を行ってみましょう。
シンプルに大枠の部分を考えると二次試験は『合格率は約6割であり、一次試験の合格者が3回トライできる』という試験です。私はこの様な、所定の回数の部分免除が受けられる試験の合格しやすさを考える時にひとつの目安としている指標があります。それは「当たり確率が6割のルーレットを3回まわすうち、1回でも当たりが出る確率はどれくらいか」という単純化したモデルに置き換えた確率の数値です。その数値は、下の図の様にして求める事ができます。
ルーレットをモデルにした指標の計算の説明図

計算すると、93.6%という結果になります。100%にかなり近いという印象です。試験の合格率とルーレットの当たり確率とはもちろん性質に違いのあるものではありますが、このように単純化したモデルを見てみる事でなんとなく「どれくらい合格できそうか」のイメージが得られるのではないでしょうか。このインテリアコーディネーター試験での93.6%という数値は、例えば各種の建築士試験と比較してもだいぶ高い数値です。こうした指標を利用して考えると、「独学でも行けそうかな」と、希望が持てる人も多いのではないかと思います。

「合格できるかどうか」の他にも重要なこと

合格できそうかどうかを予めよく予想してみる事はもちろん大事ですが、もうひとつ事前にしっかり考えておいた方が良いと思う事があります。それは、インテリアコーディネーターの試験に見事合格する事ができて、その先にインテリアコーディネーターの実務を続けていけそうかどうかという事です。インテリアコーディネーターの実務にはもちろん楽しい事もありますが、それなりに厳しさや辛さもあります。インテリアコーディネーターとは、一般的に納期に追われる事や、理屈上不可能な要望に向き合う事や、大きな金額を扱う場合が多く、プレッシャーやストレスの少なくない仕事です。また、実務として関わるとなれば、気が向いた時だけインテリアについて考えれば良いという状況に居られる事はあまりなく、毎日四六時中インテリアについて考えていなければならない様な状態になる場合がほとんどです。しかも、受験勉強を通じて得た知識のストックの中だけで仕事ができるという事はなく、合格後でもさらに追加の勉強が、しかも試験に出題されるよりもレベル的に高度な知識や考え方が必要になるケースがとても多いです。

それでもインテリアコーディネーターの仕事を長く続けている人は居ます。そういう人の多くは、インテリアが本当に好きな人や、仕事に適性がある人です。反対に、そこまでインテリアが好きでなく、そのうえ特に仕事の適性がある訳でもないという人だと、せっかくたくさんお金をかけてスクールに通い、試験を頑張った末に念願のインテリアコーディネーター証を手に入れたという人であっても、インテリアコーディネーターの仕事を長く続けられずにやめてしまい、結局インテリアとは全く方向性の異なる仕事に転向するという場合が少なくありません。インテリアコーディネーターという肩書がなんとなくお洒落そうだとか、インテリアショップを覗いてみると楽しく感じるとか、その位のイメージだけでうっかり実務に手を出してしまうと、思っていたのと違った、という事になりかねません。多少辛い事があるのは承知だけれど、大好きなインテリアに関する事ならば頑張れそうだ、というぐらいの、ある程度強いモチベーションがある場合に実務にも試験にもチャレンジするのが良いと思います。

自分自身にそれだけインテリアに強い興味や関心があるのか、といった事や、適性があるのか、という事を見極める材料として、独学で受験してみるという事は、大いに役に立つでしょう。もちろん実務が長続きできるかどうかは実際にやってみないと分からないものではあります。しかし例えば独学で受験してみて、それで合格できたら実務もやって行ける可能性が大きいだろう、という一種のフィルターにしてみるのも、ひとつの方法ではないでしょうか。その時に、一発合格できるかどうかにはこだわらなくて良いと思います。一発で合格できた人は、強い興味や関心があるかどうかはそんなに分かりませんが、一定の適性はあるという事が言えるでしょう。一方で、2回3回とチャレンジした末に合格したのであれば、それだけの期間モチベーションを持続できたという事ですから、インテリアに対してそれだけ強い興味や関心があるのだと考えられます。迷いながらも、独学でやってみような、という気持ちのある人は、ぜひ思い切ってトライしてみて下さい。

実際独学で合格するためにはどうするのか

このウェブサイトは、豊富なコンテンツを用意して独学でインテリアコーディネーターコーディネーター試験の合格を目指す人をサポートしています。実際に合格するにはどんな事をすれば良いのか、そういう情報を提供しています。このページの様に受験そのものに関する情報から、具体的な過去問題の難問の解説、得点力アップの為のトレーニングの方法、市販のテキストやスクールの授業では詳しさが足りないと受験生が感じる部分の補足まで、無料のインテリアコーディネーター試験情報サイトでは量・質ともにトップクラスです。下のリンク先に見やすい目次がありますので、ぜひ活用して下さい。

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