[一次試験] 結露の基本

結露に関連した問題の出題傾向

令和元年から令和三年まで、結露に関する問題が連続して出題されています。

  • 令和3年 第11問
  • 令和2年 第38問
  • 令和元年 第34問

例年あまり難易度の高い事に関する出題はなく、基本的な事が理解できていれば正解できる事ばかりですので、しっかり押さえておきましょう。


そもそも結露とは何か

簡単に言うと、冷たく冷えた箇所に空気中の水分が溜まって濡れた状態になる事です。濡れているといっても、水道の水が漏れたものや、飲み水をこぼして濡れたものや、雨水で濡れているというのでは結露ではありません。

結露は悪い事なのか

結露が起こると一般的に悪い事が多いです。例えば結露によって次のような事が起こります。

  • カビが生える
  • 木の部分が腐る
  • 鉄の部分が錆びる
  • アクなどの成分が溶け出してシミができる
  • 紙や布の部分がシワシワになる
  • 石膏ボードが崩れる
  • コンクリートに染み込んだ水分が冬の夜に凍って膨張し、コンクリートを内側から破壊する
  • 断熱材の能力を弱める

こうした事から、結露は悪いこととして扱われます。結露の発生を防ごうとする場合がインテリアや建築ではよくあります。

結露はどういう場所に発生するのか

結露はなぜ発生するか、というと少々難しい話になります。ここでは、そういう難しい話をできるだけ避けたいと思います。代わりに、結露はどういう場合に発生するか、という話をします。

結露は、簡単に言うと冷たい箇所にふつうの空気が触れると発生します。

ふつうの空気とは、温度や湿度がふつうという意味です。

基本的には結露が発生するのは何かしらで冷たい箇所がある場合です。しかし冷たい箇所があったとしても、その箇所と同じ位冷たい空気が触れた場合には結露は発生しません。また、冷たい箇所に冷たくない空気が触れたとしても、その空気の湿度が極端に低くてカラカラに乾いている場合には結露が発生しません。

特別に冷たくもなく、特別に乾いてもいない空気をふつうの空気と考えて、この続きを読んでください。

どうすれば結露を防げるか

結露を防ぐには色々な手法がありますが、インテリアコーディネーター試験で出題されるのはほとんどが断熱による手法です。

結露を防ぐための断熱の処置をする場合、その基本的な考え方として、

冷たい箇所を断熱材で覆う

という事をまずは覚えておくと良いと思います。

冷たい部分を断熱材でカバーして、その上から触ってみると、その部分は特に冷たくはありません。簡単に言うとこのように、冷たい部分を冷たくない部分にしてしまいます。

冷たい部分にふつうの空気が触れると結露が発生してしまいますが、冷たくない部分に普通の空気が触れても結露は発生しませんので、それで結露の発生を防ぐという発想です。

断熱材とはどんなものか

建物に使われる断熱材として代表的なものはグラスウールロックウール押出発泡ポリスチレン(スタイロフォーム)などです。クーラーバッグや冷凍食品運搬用の発泡スチロールも断熱材です。これらは機能的には同じ仲間同士ですが、建材に使われるのは燃えない素材です。断熱材は一般的に空気を含んだり閉じ込めたりした構造を持っています。ですから例えば、断熱材として製品化されたものに限らず、梱包資材のプチプチのようなもの、ダンボール、セーターやマフラーなどのふわっとした布、綿を布で包んだ布団などにも断熱性があります。

二重窓やペアガラスの窓も一種の断熱材の仲間です。ふつうのガラス1枚の窓ではかなり熱を通しやすいですが、二重窓やペアガラスの窓はニ枚のガラスの間に空気を閉じ込めたり、あるいは真空の空間を挟む事で熱を伝わりにくくしています。

ヒートブリッジとは何か

断熱に関する出題で、令和3年と令和元年に「ヒートブリッジ」というものが登場しています。今後も出題されやすいと思いますので理解しておきましょう。

ヒートブリッジとはひとことで言えば「熱を伝える部分」です。「熱橋(ねつきょう)」という別名もあります。インテリアや建築では、どちらかと言うと、温かさが伝わるというよりも「冷たさが伝わる」という事で問題視される場合が多いです。

図にまとめたので見てみましょう。



これはRC造のマンションなどの建物の柱と壁を切って上から見てみた図です。この様な箇所では、冬場には屋外の冷たい空気によって柱や外壁が冷えます。そうするとその外壁や柱と一体構造になっている壁にもその冷たさが伝わって、だいぶ奥の方まで冷えが届いている状態になります。その状態を、「壁がヒートブリッジになっている」という言い方をします。冷えている壁に対して何もしないとそこにふつうの空気が触れて結露しますので、一般的な対策として冷える部分の壁を断熱材でしっかりと覆います。色々な判断がありますが、外壁側から概ね1mぐらいの距離までを断熱材で覆って結露しないように対策するのが一般的です。

壁に限らず、梁や床スラブもヒートブリッジになりますので、同様に断熱して結露対策します。


以上は基本的な内容ですが、インテリアコーディネーター試験では、結露に関してこれ位理解できているだけで、かなり得点できると思います。さらに高得点を目指して、学習を進めてみて下さい。

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