[一次試験] シックハウス対策の規制を受ける化学物質はたった2つ
シックハウスはインテリアの利用者の健康に直接的に影響を及ぼします。そのため実務では注意を要するポイントのひとつです。インテリアコーディネーター試験でも一次試験でよく出題されています。
このシックハウスを引き起こす原因物質ですが、建築基準法で規制の対象となっている物質はたった2つしかありません。その2つについて覚えておくだけで、シックハウス関連の問題で得点できる可能性が飛躍的に高まります。覚えにくいものでもありませんので、ぜひ覚えておきましょう。
その2つとは
- ホルムアルデヒド
- クロルピリホス
です。(建築基準法28条の2・建築基準法施行令第20条の5)
これらに関する基本的な情報を順番に見ていきましょう。
ホルムアルデヒド
ホルムアルデヒドは、樹脂や接着剤の材料に含まれている物質です。建材の原料にも含まれる場合があります。ホルムアルデヒドは、視覚や聴覚や循環器の異常を引き起こし、発がん性がある、いわゆる人体に対する毒の一種であるという事がわかってきました。ホルムアルデヒドは長期間に渡って建材から空気中に発散される性質があります。
ですので建築基準法でホルムアルデヒドの含まれる建材の使用を規制するようになりました。
とはいえいきなり全面的に禁止する事が現実的ではなかったため、JASとJISで建材製品のホルムアルデヒド発散量を評価してランク付けし、そのランクに応じて使用量を制限するという制度になりました。今でもその制度が続いています。
製品の評価は☆(スター)の数で示されます。先頭にFが付加されてF☆☆☆(エフスリースター)、F☆☆☆☆(エフフォースター)のように示されます。発散量が少ない(安全性が高い)ものほど☆が多く、☆4つのF☆☆☆☆が最高ランクです。
内装材としてこれらの建材を使用する場合、F☆☆☆☆は無制限に使用が可能です。F☆☆☆以下のランクの製品から使用面積の制限を受けます。面積は換気設備の状況などによって変わります。この辺りが若干ややこしく、F☆☆☆☆の製品ばかりが好まれるようになり、それ以外の製品は不人気になってしまいました。今ではF☆☆☆☆以外はほとんど見かけなくなっています。最近のシックハウス対策の実務は、実質的にF☆☆☆☆の表記があるかどうかの確認というシンプルな作業になっているのが実情です。
ところで、F☆☆☆☆は、ホルムアルデヒドの発散が少ないから使用が制限されないというだけで、ホルムアルデヒドを発散していないという事ではありません。この事に関する引っ掛けが出題されるかも知れませんので注意して下さい。
因みに、ホルムアルデヒドの水溶液が、どこかで聞いたことのある「ホルマリン」です。
また「アルデヒド」というのは有機化合物の一種で、色々なアルデヒドがあります。有名なものにアセトアルデヒドというものがあり、これはヒトがアルコールを飲むとその代謝の過程で体内で生成され、二日酔いの原因物質として知られています。アルデヒドは一般的に生物に対して毒性を示しますので、実務上や実生活上アルデヒドという名前の物質が出てきたときには法的な規制があってもなくても健康のために要注意です。
クロルピリホス
クロルピリホスは、むかしのシロアリ駆除剤に使われていた物質です。
ホルムアルデヒドがどちらかと言えば意図せず人体に有害であったというのに対し、クロルピリホスはもともと殺虫効果を得るために使用していたため、ある程度は毒性について意識されていた部分があります。日本では2003年に使用が禁止されました。
居室を有する建築物にクロルピリホスを添加した建材を使用する事は禁止されています。居室のない建築物は少なく、ましてやインテリアと関係のある建築物では探すのが困難なレベルです。インテリアコーディネーター試験の一次試験対策としては、実質的にまるっきり使えないものだという覚え方で支障ないと思います。